犬は猫と並んで人気のペットです。近年は室内で飼うことのできる小型犬の種類も増え、ペット可のマンション等の集合住宅で愛犬と暮らしている方も増えています。その一方で、問題となっているのが遠吠えや無駄吠えです。近所迷惑にもなるため、悩んでいる方も多いことでしょう。しかし、犬は何も考えずに吠えているわけではありません。吠える原因を調べることが、しつけの第一歩になります。
そこで今回は、犬が吠える原因や無駄吠え・遠吠えをやめさせるしつけ方をご紹介しましょう。
不安? 寂しい?
犬が吠える原因
はじめに、犬が頻繁に吠える原因を紹介します。どのような原因があるのでしょうか?
1-1.飼い主に欲求を伝えている
犬は集団で生活をする動物ですので、鳴き声でコミュニケーションをとります。そのため、飼い主に何かして欲しいことがあると吠えて自分の意志を伝えるのです。しかし、飼い主が吠えるたびに要求を応えてあげると、犬の無駄吠えはますます増えていくでしょう。
1-2.分離不安や恐怖
飼い主と離れることを嫌がる犬の場合は、飼い主が外出しようとすると吠えて寂しさを伝えようとします。家具やインテリア・壁などを壊す行動が伴うこともあるので、頭を悩ませている方も多いことでしょう。飼い主の姿が見えなくなってから吠え出す場合は、中々無駄吠えに気付かないこともあります。
また、警戒心の強い犬の場合はサイレンや雷など見知らぬ音が鳴った場合や、知らない人がテリトリーに入ってきた時などに激しく吠えがちです。
1-3.社会的促進
社会的促進とは、別の個体が行っていることを見て自分も同じ行動をとることです。近所に無駄吠えや遠吠えを盛んにする犬がいると、つられて盛んに吠え出すようになることがあります。
1-4.老化
栄養状態や医療技術の発達により、犬の寿命は長くなりました。それと同時に、年を取るにつれて認知症のような症状が出てくる犬も増えています。今まで無駄吠えや遠吠えをしなかった犬が年を取ってから急に吠え出すようになった場合は、犬の認知症を疑ってください。
原因別、
無駄吠えの対処法
犬の無駄吠えや遠吠えは、ただ叱ったり体罰を加えたりしても効果は期待できません。原因別の対処法が必要です。この項では、原因別の対処法の一例をご紹介しましょう。
2-1.要求吠えの対処法
飼い主に何らかの要求があって吠えている場合は、要求に応えないことが大切です。根負けしてしまうと、犬は吠えれば欲求が通ると学習し、無駄吠えはますますひどくなります。また、かまってほしくて吠えている場合は、犬を叱ってもいけません。叱るのも犬に注意を向けることになるため、吠え出しても無視することが大切です。
犬へのしつけと同時に犬を飼っている環境も改めて見直してみてください。エサや水・散歩の時間は足りているか、寝床は寝心地よく整えられているか、トイレを無駄に我慢させていないかなどをチェックしてみましょう。一般的に小型犬には長時間の散歩はいらないといわれていますが、犬種によっては1時間近く運動をさせる必要があります。
2-2.分離不安や恐怖で吠える犬への対処法
分離不安で吠える犬の場合は、飼い主と離れる訓練が必要です。最初は犬と別室で過ごすことからはじめ、だんだんと距離と時間を長くしていきます。無駄吠えをせずに過ごせたら、おやつなどのご褒美を与えてください。すると、犬は黙っていればご褒美をもらえると覚えます。
また、外出する時は鍵を犬の目の前でふるなど、同じ行動を取ってみせましょう。すると、犬はこれから飼い主が出かけるのだなと分かります。突然飼い主が居なくなり、長時間帰ってこないと犬は不安になってパニックを起こしがちです。これから出かけるよという合図をすることで、犬も心構えができます。
音に恐怖を感じている場合は、苦手な音を小音量で聞かせるなどして、まずは吠えさせてください。そして、吠え声がやんだ瞬間にご褒美を与えます。すると、吠えなくなるとご褒美がもらえると犬が学習するでしょう。来客を怖がる場合も同じです。友人などに来客役を担ってもらい、吠えなくなった瞬間にご褒美を与えましょう。
2-3.老いが原因の場合
老いが原因の場合は、まずかかりつけの獣医に相談してください。投薬などで改善する場合があります。また、飼い主がいると落ち着く場合は、飼い主ができるだけ側にいてあげましょう。食欲中枢の異常が起き、エサをやたらと欲しがって鳴く場合は、食べるのに時間がかかるように工夫したおやつを与えるのも効果的です。おもちゃの中にはエサを仕込めるものもあるので、利用してみましょう。
2-4.吠えるのをやめたらご褒美を与える
どのような原因であれ、吠えるのをやめたらご褒美を与えましょう。すると犬は黙っているとご褒美をもらえると学習します。大切なのは、しばらく黙っていたらご褒美を与えるのではなく、吠えるのをやめたらすぐにご褒美をあげるということです。こうすることで、犬は吠えにくくなります。
2-5.しつけは根気強く行う
犬のしつけは一朝一夕では行えません。無駄吠えや遠吠えをしていた時間が長いほど、しつけを身につける時間も長くなります。大切なのは、飼い主が一度決めたルールを破らないことです。「今日だけは特別」という概念は犬に通用しません。近所迷惑が気になるという方は、犬が吠えたらケージに入れ、上から毛布をかぶせるなどの工夫をしましょう。
2-6.プロにしつけを依頼する
今まで犬が過ごしてきた環境や犬の性格によっては、素人では手に負えなくなっている場合もあります。このような時は、犬の訓練士に訓練を依頼しましょう。今は犬を短期間預かってしつけをしてくれるところもたくさんあります。費用はかかりますが、無駄吠えや遠吠えに悩まされてしつけもできないという場合は、利用を視野に入れてみてください。
飼い主が
日頃注意すること
この項では、無駄吠えや遠吠えをさせないために飼い主が日頃注意することをご紹介します。ぜひ参考にしてください。
3-1.犬を甘やかさない
犬は群れの中で順位付けする動物です。ですから、犬を甘やかして育てると、犬は飼い主よりもえらいと錯覚してしつけができなくなります。犬と良好な関係を築くためには、犬よりも飼い主の方がえらいということを理解させることが大切です。いたずらをしたりいうことをきかなかったりした場合は罰を与えましょう。
3-2.犬の世話は規則正しく行う
犬はいつも同じ時間にエサを欲しがり散歩を催促します。ですから、悪天候などのやむをえない事情がない限りは規則正しく犬の世話を行いましょう。また、犬は猫と異なりコミュニケーションを取りたがります。毎日犬と思い切り遊んであげる時間を取りましょう。そうすれば、犬も寂しさを感じにくくなります。
3-3.犬の体調に気を配る
犬は言葉をしゃべれません。痛かったり不快だったりする場合は、吠えて飼い主に助けを求めます。ですから、犬の体調や様子は常に気を配りましょう。年を取ったらなおさらです。また、定期的に健康診断を受けさせると病気を早く発見することができます。
3-4.飼い主も勉強する
犬はただ繋いでエサをやっておけばよいという動物ではありません。犬を飼う前に飼い主もよく勉強しましょう。犬種によって飼いやすさが異なるのも犬の特徴です。飼い主のライフスタイルに合った犬を探すことも大切になります。
犬の無駄吠え
防止グッズ
現在は無駄吠え防止グッズもたくさん販売されています。この項では、その中でもおすすめのものを紹介しましょう。
4-1.無駄吠え防止の首輪
無駄吠え防止首輪は、犬の嫌悪感覚を刺激する音や振動・電気などを与える機能を搭載した首輪です。これを飼い犬につけ、吠えたら首輪を作動させましょう。犬は吠えると不快な刺激を受けることを学習します。通販などでも販売されていますし、獣医さんに相談すればおすすめを教えてくれることもあるでしょう。
4-2.超音波を発信するグッズ
犬は人間に聞こえない音を聞き取ることができます。そこで、犬にしか聞こえない不快な超音波を発する機械を身近に置いておき、無駄吠えをしたらその音を聞かせるのです。こうすることで吠えると不快な音を聞くことになると犬が学習し、無駄吠えをやめさせる効果が期待できます。首輪を嫌がる犬向けの商品です。
4-3.口輪
口輪は、吠えないように口を固定する器具です。犬を傷つけない素材でできていますので、留守中に無駄吠えをしてしまう犬などに効果が期待できます。
無駄吠え・遠吠えに関する
よくある質問
Q.小型犬の方が鳴き声がうるさいように感じられますが、大型犬はどうでしょうか?
A.大型犬は小型犬のように甲高い鳴き声は上げませんが、声が大きく遠くまでよく響きます。ですから、集合住宅で大型犬を飼う場合は徹底した無駄吠えのしつけを行うことが大切です。
Q.ペットショップで買ってきた犬ならば、しつけは済んでいるのでしょうか?
A.ペットショップで販売されている犬は、まだ小さくほとんどしつけはされていません。ですから、飼い主がきちんとしつけを行いましょう。
Q.犬は年を取ると認知症になってしまうのでしょうか?
A.人間と同じで年をとっても元気なままということも珍しくありません。飼い主がたくさん遊んで脳を刺激し、足腰を鍛えてあげましょう。
Q.近所によく吠える犬がいるため、飼い犬がつられて吠えてしまいます。
A.可能な限り吠え声が届きにくい場所に犬小屋を移動させましょう。可能ならば、吠え声がうるさい飼い主に犬のしつけをするように促してください。
Q.しつけ用の首輪は犬の健康に影響はありませんか?
A 影響がないように作られていますが、犬のサイズに合ったものを購入してください。小型犬に大型犬用の首輪をつけてはいけません。
犬が吠える原因
まとめ
いかがでしたか? 今回は犬が無駄吠えや遠吠えをする原因や対処方法をご紹介しました。一見すると厳しすぎるように見えるかもしれませんが、犬と人間が気持ちよく共存していくためにはかかせないものです。甘やかしきってからしつけるのは大変ですが、子犬の頃から少しずつしつけていけば、犬もストレスを感じにくいでしょう。犬が家にやってきたその日からしつけを始めてください。