「フェレットを飼いたいけど、どんな点に気を付ければいいのだろう」「フェレットを飼うときのポイントや病気の対処法を知りたい」とお考えではありませんか? フェレットは、イタチ科の小動物で、愛らしい姿や室内で飼えることで人気があります。しかし、生きものですから、適当に世話をしていてはいけません。まずは、フェレットを飼う前の心構えや、飼うときの注意点などをきちんと理解しておく必要があります。
そこで、今回は、フェレットの飼い方について詳しく解説しましょう。
この記事を読むことで、フェレットを飼うときのポイントや注意点がよく分かります。まずは、記事を読んでみてください。
1.フェレットの人気が高い理由
最初に、フェレットがペットとして人気が高い理由を見ていきましょう。
1-1.見た目が愛らしい
フェレットがペットとして人気が高いのは、見た目が愛らしいことが一番です。小さくて細長い体と、暖かそうな体毛、つぶらな瞳など、一目見て気に入る人も多くいます。また、短い手足で一所懸命走り回る姿も、癒やしを与えてくれるものです。犬や猫以外で愛らしい動物を飼ってみたいといった人からも人気があります。
1-2.鳴き声がうるさくない
フェレットがペットとして人気が高い理由として、鳴き声がうるさくない点も挙げられます。フェレットは、普段ほとんど鳴きません。何らかの危険を感じたときなどに、声を上げる程度です。そのため、マンションやアパートなどの集合住宅でも、鳴き声による苦情が出る心配がありません。
1-3.ケージで飼育することができる
フェレットは、ケージで飼育することができるのも人気の理由です。ケージの中で飼えることは、庭がなくても問題なく、室内でも飼いやすいことを意味します。また、家事をするときや来客時など、必要に応じてケージに入れれば、フェレットを飼っていることで不便を感じることも少ないでしょう。
2.フェレットにはどんな種類がある?
フェレットの主な種類を詳しくご紹介します。
2-1.マーシャルフェレット
マーシャルフェレットは、ペット用フェレット専門ファームであるマーシャル社で産まれた品種です。日本で初めて輸入された品種であり、高い人気を誇っています。かみぐせが少ないため、初心者でも飼いやすいでしょう。マーシャルフェレットは小柄な体格で、体長オスで30~35cm前後・体重1~1.8kg程度が平均です。耳に2つある青い丸の入れ墨は、去勢または避妊済みであることや臭腺除去手術済みであることの証拠になります。また、マイクロチップが装着されていることも特徴の一つです。
2-2.カナディアンフェレット
カナディアンフェレットは大きくて骨太な体格が特徴で、がっしりした印象があります。オスの体長は40~45cm、メスの体長は35~40cmが標準です。また、体重はオスが1.5~2kg程度で、メスが0.9~1.5kgとなります。カナディアンフェレットは、いたずら好きな性格でかみぐせがあることから、初心者向けのフェレットではありません。以前フェレットを飼ったことがある人や、時間をかけてしつけができる人などにおすすめです。
2-3.パスバレーフェレット
パスバレーフェレットは、体毛のカラーバリエーションが多く、マーシャルフェレットよりやや大型になります。体が丈夫なので、病気になりにくく飼いやすいのが特徴です。パスバレーフェレットは、丸みを帯びた顔が愛らしく、比較的性格がおとなしい種類になります。幼いうちはかみぐせが残ることがあるので、きちんとしつけをしましょう。
2-4.アンゴラフェレット
アンゴラフェレットは、フェレットの中でも特に大きく、体重はオスで2kg程度になるのが通常です。筋肉質でがっしりした体格を持ち、ふわふわとした長い体毛と独特な鼻の形をしています。フェレットの種類の中では、最も気性が荒くて懐きづらいので初心者にはおすすめしません。なお、アンゴラフェレットでアルビノ(突然変異により全身の色素が薄くなった個体)になると、通常の個体よりも高額で取り引きされます。
2-5.ニュージーランドフェレット
ニュージーランドフェレットは、目の周りの黒いパンダ模様や丸みを帯びた独特の顔立ちが主な特徴です。カナディアンフェレットと同様の大きさで、がっしりした印象になります。ニュージーランドフェレットのお腹には、ナンバーの入れ墨があるのも特徴です。いたずら好きでかみぐせがあるので、上級者向けの種類になります。
3.フェレットを飼う前に知っておくべきこと
フェレットを飼う前に知っておくべきことを詳しく見ていきましょう。
3-1.契約内容によっては賃貸物件でも飼える
賃貸物件の場合、契約内容によってはフェレットを飼うことができます。契約書に、ペットの飼育可能と明記されていれば問題ありません。ペットの飼育が不可となっている場合は、許可なくフェレットを飼うと契約違反となり、退去を求められることがあるので注意してください。大きなトラブルに発展させないためにも、貸し主から事前に承諾を得ておく必要があります。
3-2.フェレットの平気寿命は6~10年程度
フェレットの平均寿命は、6~10年程度です。フェレットの寿命は、育成環境に大きく影響を受けます。たとえば、まだ幼いうちに去勢・避妊手術を行うことが、寿命を短くする原因になるのです。反対に、食事・運動・生活環境をきちんと管理することで、平均寿命より長生きさせることもできます。特に生後4年以上経過して、高齢期を迎えてからが勝負です。
3-3.1匹2~3万円程度が購入価格の目安
フェレットの購入価格は、1匹2~3万円程度が目安になります。毛色の違いやファームの違いが価格に差が出る原因です。たとえば、人気の毛色・ファームのフェレットでは、1匹10万円以上になることもあります。しかし、特に価値の高い毛色やファームにこだわりがないのなら、2~3万円程度の予算で十分に購入可能です。
3-4.フェレットの飼育費用は?
フェレットの飼育費用は、初期費用が3~5万円程度・毎月5,000円程度が目安です。犬や猫を飼うのと比較しても、決して高くはありません。ただし、病気にかかって動物病院に通院するようになると、1回1万円以上の費用がかかることがあります。手術が必要になれば、1回10~50万円以上の請求が来ることもあるでしょう。フェレットを飼うことを決めたら、万が一のときのために貯金しておくことが大切です。
4.フェレットの飼い方
フェレットの基本的な飼い方を詳しく解説します。
4-1.フェレットを迎える前に部屋を片付けて掃除する
フェレットを迎える前に、部屋をキレイに片付けて掃除してください。フェレットは、狭いすき間や物影に隠れる習性があるからです。ゴチャゴチャとした部屋では、フェレットが行方不明になる原因になります。また、ホコリやゴミなど誤飲してしまうと大変です。電化製品の配線など、かじられては困るものもビニールテープで保護するなどしてください。
4-2.フェレットを飼うのに必要なものは?
フェレットを飼う場合、以下のようなものを用意する必要があります。フェレットを迎えるときまでに用意し、準備を万全にしておきましょう。
- ケージ
- トイレ
- 水入れ
- エサ入れ
- サークル
- リード
- ハンモック
4-3.フェレットのエサは何がいい?
フェレットには、市販のフェレット専用フードを与えるといいでしょう。フェレットに必要な栄養を摂取できるように考えられており、管理も楽です。食感や味の好みによって食い付きが異なるので、数種類を試してみるといいでしょう。なお、手作りのエサを与えても構いません。鳥肉などをいったん冷凍し、解凍した状態か軽く加熱してから与えましょう。いったん冷凍することでほとんどの寄生虫が死滅するため、生肉でも安心して与えることができます。また、フェレットが食べやすいように、細かく切っておくといいでしょう。
4-4.適度に運動させること
フェレットは、普段ケージの中で飼うことができますが、適度な運動も必要です。ケージに入れたままにすると、運動不足になったりストレスになったりします。まずは、部屋をきちんと片付け・掃除し、フェレットが走り回っても問題ないように準備してください。適度な運動ができていれば、フェレットの心身を健康に保つことができ、長生きさせることにつながります。
4-5.臭い対策をきちんとすること
フェレットを飼うときは、臭い対策をきちんとすることが大切です。日本国内で流通しているフェレットは、輸入時に臭腺除去手術が済んでいる個体がほとんどなので、強烈な臭いがすることはほぼありません。しかし、以下のような臭い対策は必要です。
- ケージをこまめに掃除する
- トイレシートをこまめに交換する
- エサの食べこぼしを放置しない
- 定期的にシャンプーする
5.フェレットがかかりやすい病気と対処法
フェレットがなりやすい病気と対処法を詳しく解説します。
5-1.副腎腫瘍(しゅよう)
フェレットの代表的な病気として、副腎腫瘍を挙げることができます。副腎は、左右の腎臓の頭側部にそれぞれ一つずつある臓器です。副腎腫瘍になると、以下のような症状が見られます。
- 歩行時や立ち上がる際にふらつく
- 脱毛がある
- 排尿障害でおしっこが出にくい
- メスの場合は外陰部が腫れる
副腎腫瘍の主な診断方法は、触診・血液検査・超音波検査などがあります。また、副腎腫瘍の治療方法は、ホルモン注射による内科療法と手術による外科療法です。いずれの治療方法を選ぶかは、フェレットの年齢や健康状態・飼い主の希望などを考慮して決めることになるでしょう。
5-2.インスリノーマ
インスリノーマは、特に高齢のフェレットがかかりやすい病気です。インスリノーマになると、すい臓から大量のインスリンが分泌されることで、低血糖になりやすくなります。副腎腫瘍や悪性リンパ腫を併発しているケースも多いので、注意が必要です。フェレットがインスリノーマになると、以下のような症状が見られます。
- 元気がない
- 目に力がなくなりぼんやりするようになる
- 体重の減少
- 食欲の減少
- 寝る時間が長くなる
- けいれん
- こん睡状態に陥る
インスリノーマは、血液検査で発見できます。治療薬投与による内科療法を選んだ場合は、平均余命が半年程度です。手術による外科療法を併用した場合の平均余命は、1年半~2年程度でしょう。
5-3.悪性リンパ腫(しゅ)
悪性リンパ腫も、フェレットが注意すべき病気の一つです。悪銭リンパ腫とは、いわゆる血液のガンであり、発症した場所によって症状が異なります。詳しくは、以下を参考にしてください。
- 胸部:せきや呼吸困難
- すい臓:食欲不振・体重が減少・長時間睡眠
- 大腸:下痢・排便障害
なお、いずれの場所にリンパ腫ができても、後ろ足の脱力やリンパ節の腫れが見られます。悪性リンパ腫の診断方法は、触診・血液検査・X線検査などです。発症場所によっては、検査時点ですでに進行していることも多くなります。主な治療方法は、投薬による内科療法と手術による外科療法です。フェレットが高齢で手術に耐えられないと判断した場合は、病状が進行していても内科療法を選ぶことになるでしょう。
5-4.条虫症
フェレットは、条虫症にも注意する必要があります。条虫症とは、条虫(サナダムシ)という寄生虫が体内に生息して起こる症状のことです。条虫症の代表的な症状には、以下のようなものがあります。
- 大便に小さくて白い虫が付く
- 下痢
- 貧血によるふらつき
- 体重減少
- 腸炎
条虫症の診断は、大便の視診や血液検査などによって行われます。条虫症の主な治療法は、寄生虫駆除剤の投薬による内科療法です。体内の条虫をすべて駆除するには、一定期間続けて投薬する必要があります。獣医師の許可なく、勝手に投薬を中止するのはやめましょう。
6.フェレットの飼い方に関するよくある質問
最後に、フェレットの飼い方に関する質問に回答します。それぞれ役立ててください。
Q.フェレットを多頭飼いしても問題ない?
A.きちんと管理すれば、2匹以上同時に飼っても問題ありません。ペットショップなどで売られているフェレットは、すでに去勢・避妊済みの個体であることが多いため、オストメスと同時に飼っても繁殖してしまう心配もないでしょう。ただし、フェレット同士が慣れるまでは別々のケージで飼い、相性を見極める必要があります。
Q.フェレットを飼いながらにアロマを楽しむことはできる?
A.やめておきましょう。フェレットは体が小さいため、アロマオイルの成分が強過ぎて、体調不良の原因になる可能性があります。
Q.フェレットを飼い始めたらくしゃみが止まらないのですが?
A.フェレットの体毛などにより、アレルギー症状が出ている可能性があります。まずは、医療機関を受診して、アレルギーの原因を突き止めましょう。フェレットを飼うことでアレルギーが出ているのなら、知人や友人など次に飼ってくれる人を探す必要があります。
Q.フェレットの様子がおかしいときはどうする?
A.なるべく早く動物病院に連れていきましょう。病気が原因の場合、早めに対処することが大切です。様子を見ているうちに急激に症状が悪化すれば、そのまま死んでしまう可能性もあります。
Q.小さな子どもがいる家庭でもフェレットを飼える?
A.飼うことは可能です。ただし、フェレットはものをかむ習性があるため、子どものケガを防ぐためにも、ケージの中で飼うことをおすすめします。なお、ケージの中に子どもが手を入れるとかまれることがあるので、子どもによく言い聞かせることも大切です。
まとめ
今回は、フェレットの飼い方について詳しく解説しました。まずは、フェレットを飼う前に、フェレットが住みやすい環境を整えることが大切です。フェレットは、基本的にケージの中で飼うことができます。ただし、定期的に運動させるようにしてください。また、狭い場所にもぐったりものをかんだりする習性があるので、部屋を片付けてフェレットが行方不明にならないようにし、かまれては困るものを片付けましょう。この記事を参考にして正しい飼い方を理解し、かわいいフェレットと楽しく暮らしてください。